2021-03-18 スタッフvoice
シンプルを極限にまで美しく。タバラットのガラスロットピン。


タバラットはこれまで金属加工、そしてガラス加工の職人さんとそれぞれモノづくりを進めてきました。


宇内金属工業株式会社

金属加工については大阪の宇内金属工業株式会社さん。昭和16年から続く老舗の金属加工工場さんです。



宇内金属工業さんとはこれまでネクタイピン、マネークリップ、はたまた金属と本革を組み合わせた沢山の小物を一緒に作ってきました。


HARIOランプワークファクトリー株式会社

ガラスについてはHARIOランプワークファクトリー株式会社さん。コーヒーのガラス機器で有名なHARIOが手掛けるガラスアクセサリーのブランド・工場さんです。



HARIOランプワークファクトリーさんとは、ガラスのカフス、ブローチなどを一緒に作ってきました。

それぞれの工場さんと一緒のお仕事をさせて頂きながら、金属加工やガラス加工の技術を組み合わせた、ガラスと金属をMIXさせた他にはないアイテムを作ってみたい。そんな風に考えるようになり、1年くらい前から工場さんと一緒になってアイテム作りをスタート。

作るアイテムはネクタイピン。TAVARATの定番アイテムです。ここに一つ新しい風を吹き込んむことにしました。


安易に考えていた開発スタート

スタート当初、シルバーカラーにガラスをのっけて接着するだけなので、それぞれをお洒落に仕上げたら自然と格好良くなるはず!と正直安直に考えていました。

しかし進めてみると、当然色々な課題が。

まず、HARIOランプワークファクトリーさんのガラス加工は全て手作業です。ガラスを全て均一な形にはできません。

一方で、真鍮の土台は一定の厚みがないと、金具の加工に際して加える高熱で曲がってしまいます。曲がるとガラスとの接着が安定しません。

そのため、土台を分厚くし、その上で多少ガラスの形が違っても接着時に問題がないような形から進めることにしました。構造としては非常にシンプルです。



初期のサンプルがこちら。土台はメッキをかけていないので真鍮無垢です。

この写真だけ見るとアンティークな雰囲気でお洒落にも見えるのですが、率直な感想として大きすぎてこれではダメだと感じました。さらに小さな凹凸の多いガラスと金属の接着面から接着剤が漏れやすい。これでは加工が非常に難しく、工場さんの負担が大きくなりすぎます。

改善方法を工場さんの提案なども頂きながら考え、接着面を安定させるために金具・ガラスを凹凸にしたり。



なんてことも双方の工場さんに無理を言いながらチャレンジしてみましたが、金属と形に均一性を出せないガラスとの組み合わせのバランスは難しく、仕上がりも雑になってしまいました。これではせっかくの素材を悪い方にミックスしてしまってる・・・、老舗の工場さんに申し訳ない、そんな葛藤ばかりで前に進めずにいました。


サンプルを重ねて見えてきたもの
何度も思案を重ねていきながら、出てきた課題を整理し、

・見た目が格好良い
・ガラスが綺麗に収まる
・ガラスと金属の接着に無理がない

この3点を確保できる形を、デザイナーの南田くんが工場さんと何度もアイデアを交わし、金具、ガラスは下記の形へとたどり着きました。


半円形の金具
タバラットのローレットネクタイピンを参考に、半円形の形に溝を掘りました。接着面を残しながら、貫通部分を作ることでガラスの透過を活かせるようにしました。 画像を残しておきたかったのですが金具単体の画像を残し忘れておりました・・・


丸棒型のガラス材



丸い棒状のガラスを作るようにしました。形が安定しやすいことが一番の理由です。フロスト加工を加えることで、見た目のアクセントもつけました。

この形で双方の工場さんと最終調整。ガラス材は最終的にシンプルな形におさまりHARIOランプワークファクトリーさんの技術をふんだんに使って・・・という作品にはならなかったですが、金具の溝にきっちりとはまるように誤差を納めるにはやはり細かい調整が必要で、最後まで丁寧に制作を頂きました。


ガラスロッドピン



2つの部材を組み合わせてできあがったのがこちら。その名も「ガラスロッドピン」

シルバー、ブラックシルバーの金具に、クリア・フロストを半分半分にしたもの、フロスト・クリア・フロストの3分割のガラスをそれぞれはめ込みました。

オブジェとして飾っておきたくなるような美しさ。



装着時には、クリア部分が透過しネクタイの柄を映し出します。
ですのでネクタイを変えることで、表情が変化します。


最後に

作った側が何度も言うのもはばかられるのですが、しかし私のこのネクタイピンに関する感想は、「美しい」。老舗の金属加工工場、ガラス加工工場。それぞれの技術や経験で、いまの時代に合ったシンプルかつ美しい、この時代だからこそつけてみたいと思える「ネクタイピン」が完成したことを嬉しく思います。



TAVARAT Store Manager ヤマモト










『今回ご紹介した商品』


ガラスロッドピン(ハーフクリア)

ガラスロッドピン(センタークリア)